言葉を持たない細菌と、言葉を使える人間
微生物はお互いの密度を高め合うことで必要な遺伝子の発現量をあげている。
このクオラムセンシングというメカニズムを初めて知ったのは確か大学四年の夏で、当時右も左もわからない、ただ新たに得る微生物学の知識に興奮しか感じない私にとって研究生活を延長させるには十分すぎる材料だった気がします。(あれから五年目の今)
クオラムセンシングが発見されたきっかけは、海の中で光を発する細菌の存在です。彼らは細胞密度を高めることで、発光反応を触媒する酵素遺伝子の発現量を高めて光り輝きます。
細菌たちの会話は密度で行われる、神秘的ね、この出来事をTEDで聞いた時、改めて、明らかにドキドキしたのを今でも覚えています。
今はコロナでアナログに会うことができないゆえにコミュニケーションが減少していると思いきや、細菌と違って我々はデジタルに密度を高めるらしい。特にここ最近はその密度が度を超えている気がします。
微生物のように、生きるために必要な遺伝子の発現を増やしているわけでもなく、欲を満たすために必要な発言を増やしているこちら人間は、柔軟性があまりないんだろうなあと俯瞰して見ています。
自分が手塩にかけて培養している菌を眺めると、ふとこんなエモいことを考えてしまいますが、あくまでもクオラムセンシングは言葉を持たない細菌間コミュニケーションツール。言葉を与えられた人間が壊れゆくようでは、細菌以下ですね。
朝はまだ寒いなぁ。
まぁ、気をつけましょう!